神学大全第一部第十二問題第十二項
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第十二項

[二八七七二]第一部第十二問題第十二項第一異論

第十二のものについては次のように進められる。 我々は、 この世の生において自然理性によって神を認識することができないと思われる。

なぜなら、ボエティウスは『哲学の慰め』の中で、 「理性は単純な形相を捉えない」と述べているからである。 ところで、すでに示されたように、神は最高度に単純な形相である。 したがって、自然理性は彼の認識に到達することができない。

[二八七七三]第一部第十二問題第十二項第二異論

さらに、『魂について』第三巻で述べられているように、魂は、 自然理性によってでは、 表象像がなければいかなるものも知性認識しない。 ところで、神は非物体的であるから、 彼の表象像が我々のうちに存在することはできない。 したがって、 自然的な認識によって我々に彼が認識されることはできない。

[二八七七四]第一部第十二問題第十二項第三異論

さらに、 自然理性によって成り立つ認識は善人たちにも悪人たちにも共通であり、 それは自然というものが両者に共通であるのと同様のことである。 ところが、神の認識は善人たちにのみ適合する。 なぜなら、アウグスティヌスは『三位一体論』第一巻で、 「人間の精神の眼差しは、 それが信仰の正義によて浄められないならば、 これほどまでに卓越した光に向けては固定されない」と述べているからである。 したがって、神は、 自然理性によってでは認識されることができない。

[二八七七五]第一部第十二問題第十二項反対異論

しかし反対に、『ローマの信徒への手紙』第一章では、 「神について知られることがらは彼らにおいて明らかです」と述べられている。 「神について知られることがら」とは、すなわち、 自然理性によって神について認識可能であることがらのことである。

[二八七七六]第一部第十二問題第十二項主文

私は答えて言わなければならない。 我々の本性的な認識はその根源を感覚から受け取る。 したがって、我々の本性的な認識は、 可感的なものによってそれが導かれることができる限りのところまでは及ぶことができる。 ところが、我々の知性は、可感的なものからでは、 神の本質を見るところにまで到達することができない。 なぜなら、可感的な被造物は、 その原因の力には相応しない神の結果であるからである。 したがって、可感的なものの認識からでは、 神の全体的な力が認識されることはできず、 したがって彼の本質が見られることもできない。

しかし、彼の結果はそれらの原因に依存するのであるから、 我々は神について、彼が存在するかどうかを認識するところまでは、 それらの結果から導かれることができる。 また、 彼が彼を原因とするすべての結果を超越している万物の第一原因である限りにおいて、 我々は彼について、 彼に適合することが必然であることがらを認識するところまでは導かれることができる。 したがって、我々は彼について、彼が被造物に対して持つ関係、 すなわち彼が万物の原因であるということを認識し、 被造物と彼との相違、 すなわち彼は彼によって生み出されたいかなるものにも属していないということを認識し、そして、 それらが彼から排除されるのは、 彼の欠陥を理由とするものではなく、 彼がそれらを超越しているからであるということを認識する。

[二八七七七]第一部第十二問題第十二項第一異論解答

したがって、 第一のものについては次のように言わなければならない。 理性は単純な形相について、 それが何であるかということを知るところまで到達することはできないが、 しかし、それについて、 それが存在するかどうかを知るところまでは認識することができる。

[二八七七八]第一部第十二問題第十二項第二異論解答

第二のものについては次のように言わなければならない。 神は、彼の結果の表象像を通じて、 自然的な認識によって認識される。

[二八七七九]第一部第十二問題第十二項第三異論解答

第三のものについては次のように言わなければならない。 本質による神の認識は、それは恩寵によって成り立つのであるから、 善人たちを除く者たちには適合しない。 しかし、自然理性によって成り立つ彼の認識は、 善人たちにも悪人たちにも適合することができる。 アウグスティヌスが『再論』の中で次のように述べているのは、 このような理由によるものである。 「私は祈りの中で、『神よ、 あなたは浄い者たち以外には真実を知ることを望まない』と言ったが、 私はそれを是認しない。 なぜなら、 浄くない多くの者たちも多くの真実を知っていると反駁されることができるからである」と。 これはすなわち、自然理性によって知っているということである。

神学大全第一部第十二問題第十二項
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