神学大全第一部第七問題第一項
前のページ次のページ

第一項

[二八四九四]第一部第七問題第一項第一異論

第一のものについては次のように進められる。 神は無限ではないと思われる。

なぜなら、無限であるいかなるものも不完全だからである。 なぜなら、そのようなものは、 『自然学』第三巻の中で述べられているように、 部分と質料の性質を持つからである。 ところが、神は最も完全である。 したがって、彼は無限ではない。

[二八四九五]第一部第七問題第一項第二異論

さらに、 『自然学』第一巻の中で哲学者が述べているところによれば、 有限と無限とは量に適合する。 ところが、神の中に量は存在しない。 なぜなら、すでに示されたように、彼は物体ではないからである。 したがって、無限であるということは彼には適合しない。

[二八四九六]第一部第七問題第一項第三異論

さらに、ここにあって他の場所にはないというものは、 場所的に有限である。 したがって、これであって他のものではないというものは、 実体的に有限である。 ところで、神は、これであって他のものではない。 なぜなら、彼は石でもなく木でもないからである。 したがって、神は実体的に無限ではない。

[二八四九七]第一部第七問題第一項反対異論

しかし反対に、ダマスケヌスは、「神は無限であり、 永遠であり、境界を画し得ない」と述べている。

[二八四九八]第一部第七問題第一項主文

私は答えて言わなければならない。 『自然学』第三巻の中で述べられているように、 すべての古代の哲学者たちは、第一の根源に無限を帰属させている。 そして、これは理に適ったことであるが、彼らは、 第一の根源から事物が無限に流出すると考察した。 ところが、ある人々は、 第一の根源の性質に関して誤りを犯したので、その結果として、 それの無限性に関しても誤りを犯すことになった。 すなわち、彼らは、第一の根源は質料であると措定したので、 第一の根源に質量的な無限性を帰属させ、 何らかの無限の物体が事物の第一の根源であると述べたのである。

したがって、何かが無限であると言われるのは、 それが限定されたものではないということにもとづく と考察されなければならない。 ところで、「限定される」というのは、 ある意味では質料が形相によって限定されるということであり、 ある意味では形相が質料によって限定されるということである。 質料が形相によって限定されるというのは、質料は、 それが形相を受容する以前には多数の形相に対して可能態にあるが、 一つの形相を受容すると、その形相によって限定される、 という意味においてである。 それに対して、形相が質料によって限定されるというのは、形相は、 それ自体において考察されるならば多数のものに共通であるが、 質料のうちに受容されることによって、限定的に、 この事物の形相になる、という意味においてである。

ところで、質料は、 それによって限定される形相によって完成させられる。 したがって、質料に帰属させられる限りにおける無限は、 不完全という性質を持つ。 なぜなら、 それはいわば形相を持たない質料というようなものだからである。 それに対して、形相は、質料によって完成させられるのではなく、 むしろ質料によってその豊かさが制限される。 したがって、 質料によって限定されない形相という 側面から理解される限りにおける無限は、 完全という性質を持つ。

ところで、すでに述べられたことから明らかなように、 万物のうちで最高度に形相的であるものは存在それ自体である。 したがって、神の存在は何かの中に受容された存在ではなく、 すでに示されたように、彼は自存する彼自身の存在であるから、 神こそが無限であり完全であるということは明らかである。

[二八四九九]第一部第七問題第一項第一異論解答

第一のものについての解答は、これによって明らかである。

[二八五〇〇]第一部第七問題第一項第二異論解答

第二のものについては次のように言わなければならない。 量の限界は、いわば量の形相というようなものである。 量の限界のうちに成り立つ、「形」というものは、 量に関する一種の形相である、ということがその証拠である。 したがって、量に適合する無限は、 質料という側面から理解される無限であり、そのような無限は、 すでに述べられたように、神には帰属させられていない。

[二八五〇一]第一部第七問題第一項第三異論解答

第三のものについては次のように言わなければならない。 神の存在は、何かの中に受容されるものではなく、 それ自体によって存立するものであり、 それが無限であると言われるのはこれにもとづくものであるという、 この理由によって、それはすべての他のものから区別され、 他のものはそれから隔てられる。 同様に、もしも自存する白さというものが存在するならば、それは、 他のものの中には存在しないという、この理由によって、 基体の中に存在するいかなる白さとも異なっているであろう。

神学大全第一部第七問題第一項
前のページ次のページ