神学大全第一部第三問題第二項
前のページ次のページ

第二項

[二八三三四]第一部第三問題第二項第一異論

第二のものについては次のように進められる。 神の中には形相と質料との複合があると思われる。

なぜなら、 魂を持つすべてのものは質料と形相から複合されているからであり、 それは、魂が身体の形相であるからである。 ところで、聖書は、神に魂を帰属させている。 なぜなら、『ヘブライ人への手紙』第十章に、 「私の義人は信仰によって生きる。 もしも彼がそれを棄てるならば、 彼は私の魂に適わないであろう」という、 神自身から発せられた言葉が引用されているからである。 したがって、神は質料と形相から複合されている。

[二八三三五]第一部第三問題第二項第二異論

さらに、『魂について』第一巻で語られているように、怒り、 喜び、そしてそれらに類するものは、 複合されたものが持つ情念である。 ところで、聖書においては、 そのような情念が神に帰属させられている。 なぜなら、『詩編』において、 「主は彼の民に向かって燃えるがごとく怒った」 と語られているからである。 したがって、神は質料と形相から複合されている。

[二八三三六]第一部第三問題第二項第三異論

さらに、質料は個体化の根源である。 ところで、神は個体であると思われる。 なぜなら、彼は、 多くのものについての述語とはならないからである。 したがって、彼は質料と形相から複合されている。

[二八三三七]第一部第三問題第二項反対異論

しかし反対に、 質料と形相から複合されているすべてのものは物体である。 なぜなら、延長的な量は、質料に第一に内属するものだからである。 ところが、すでに示されたように、神は物体ではない。 したがって、神は、質料と形相から複合されてはいない。

[二八三三八]第一部第三問題第二項主文

私は答えて言わなければならない。 神の中に質料が存在するということはあり得ない。

その理由は、まず第一に、 質料は可能態にあるものだからである。 ところが、すでに示されたように、神は純粋な現実態であり、 いかなる可能態性も持たない。 したがって、 神が質料と形相から複合されているということはあり得ない。

第二の理由は、質料と形相から複合されているすべてのものは、 それ自身の形相によって完全であり善であるからである。 したがって、それは、分有によって善であるもの、すなわち、 質料が形相を分有している限りにおいて 善であるものでなければならない。 ところが、善である第一のものであり最善であるもの、 すなわち神は、分有によって善であるのではない。 なぜなら、本質によって善であるものは、 分有によって善であるものに先行するからである。 したがって、 神が質料と形相から複合されているということはあり得ない。

第三の理由は、作用者はそれぞれ、 それ自身の形相によって作用するからである。 したがって、作用者は、 それ自身の形相に対して持つものに応じて、 作用者としてそれが持つものも規定される。 したがって、第一のものであり、 そしてそれ自身によって作用者であるものは、 根本的に、そしてそれ自身によって形相でなければならない。 ところで、神は第一の作用者である。 なぜなら、すでに示されたように、彼は第一の作出因だからである。 したがって、彼は、彼自身の本質によって形相であり、 質料と形相から複合されているのではない。

[二八三三九]第一部第三問題第二項第一異論解答

したがって、 第一のものについては次のように言わなければならない。 魂が神に帰属させられているのは、働きの類似性によってである。 なぜなら、我々が自分のために何かを意図するということは、 我々の魂から生ずることだからである。 したがって、「神の魂に適う」と言われることがらは、 彼の意図に適うことがらのことである。

[二八三四〇]第一部第三問題第二項第二異論解答

第二のものについては次のように言わなければならない。 怒りやそれに類するものが神に帰属させられているのは、 結果の類似性によるものである。 たとえば、彼の罰が比喩的に「怒り」と呼ばれるのは、 罰することが怒った者に固有のものだからである。

[二八三四一]第一部第三問題第二項第三異論解答

第三のものについては次のように言わなければならない。 質料の中に受容され得る形相は、質料によって個体化される。 質料は、基本的に存在する第一の基体であるから、 他のものの中に存在することができない。 それに対して、形相は、それ自体に関する限り、 すなわち他の何かが妨げることのない限り、 多くのものによって受容されることができる。 ところが、質料の中に受容され得ず、 それ自体によって存立する形相は、 他のものの中に受容されることができないという、 まさにそのことによって個体化される。 そして、神はそのような形相である。 したがって、彼が質料を持つということは帰結されない。

神学大全第一部第三問題第二項
前のページ次のページ